思いっきり投げたボールは必ず返ってくる

桜チップで薫製したチャーシューで「香」を、水菜と糸唐辛子で「彩」を演出

人との〝信頼残高〞を積む
新宿西口大ガードから続く小滝橋通りは、都内でも屈指のラーメン激戦区だ。徒歩わずか10分圏内に、あの「麺屋武蔵」がのれんを掲げ、「ラーメン二郎」「蒙古タンメン中本」など錚々(そうそう)たる有名店が控えている。ラーメン好きが集まる地域だけに、彼らに受け入れられた店には長い行列ができるが、その一方で消えていく店も後を絶たない。明暗を大きく分けるこのエリアで8年間店を構え、現在月商780万円を売上げる「麺屋 翔」の山あり谷ありのストーリーを取材した。

麺屋 翔
所在地=東京都新宿区西新宿7-22-34
営業時間=月~金:午前11 時~午後3 時、6 時~11 時
土・日・祝:午前11 時~午後3 時、5 時~9 時、無休

香彩鶏だし味玉塩らーめん 890円
味玉つけ麺 890円

桜チップで薫製したチャーシューで「香」を、水菜と糸唐辛子で「彩」を演出


ファン作りこそ経営の第一歩

客とのコミュニケーションを何よりも大事にする大橋店主

客とのコミュニケーションを何よりも大事にする大橋店主
 「苦節○年間」という表現があるが、「麺屋 翔」の大橋望店主のラーメン人生は、まさにこの言葉が当てはまる。
東京でラーメン店を始めた姉の影響を受けた大橋氏は、25歳のときに会社を退職して、姉のもとで働き始める。両親からは「大学まで出してラーメン屋なんて……」と反対されての決意だった。
ゼロから修業を始め、4年目のときに店を退職し、当時、池袋にあったラーメン店の集合施設「ラーメン名作座」に「麺屋 翔」を出店。月500万円を売上げるが、5ヵ月後、同施設の閉館と同時に閉店。その挫折にめげず1年後に店を復活させ、不利な立地を克服して月商170万円までになる。1度挫折を体験しているだけに、普通なら今度こそは成功ヒストリーとなるはずが、ラーメンの神様はそれほど甘くはなかった。
「月170万円稼げれば、このままでも大丈夫と気持ちにスキが生まれたのがいけなかったのでしょうね」と振り返る。売上げが徐々に落ち始め、開業から5年目には、妻子を養うためにファミレスでアルバイトをするまでになっていた。
そんなときに思わぬ機会が巡ってくる。売れない店を再生させるという内容のテレビ番組への出演オファーだった。「店が立ち直るきっかけになるなら」と出演を承諾し、21日間のガチの修業が始まる。師匠は「麺屋こうじグループ」代表の田代浩二氏。これまでに「中華蕎麦 とみ田」「麺屋一燈」「つけ麺 道」「麺処 ほん田」などの店主を輩出してきた人物だ。田代氏と出会い、その厳しい修業を最後までやり抜いた大橋氏は、今度こそラーメンと真正面から向き合う店主へと成長した。
田代氏の教えの中に「味を売るのではなく、自分自身を売れ」というメッセージがある。「今はどこの店もうまい。その中で自分の店に足を運んでいただくには、お客さんに大橋望のファンになってもらうことだ」と教えられた大橋氏は、ファン作りのために、徹底して客とコミュニケーションをとる。声をかけるだけではなく、客の話を聞く。ブログは最初の2年間は1日も休まず更新し、3年間で1700回近くアップした。「お客さんから『この間行った○○のラーメンがうまかった』と薦められ、『今度行ってみます』と返事をしたら、その日のうちに行ってブログにアップします」と接客用のサービストークではなく有言実行する。「それがお客さんとの信頼〝残高〞を積むんです。お客さんに限らず人とのつながりは、信頼を一つずつ積み上げていくことが大事なんですね」
大橋氏は「気持ちを込めて思いっきり投げたボールは必ず返ってくる」と言う。「すぐには結果が出なくても、長い目でみれば必ず現在につながります」と。テレビ番組放送後、3年間かけて店を月商780万円に成長させ、「食べログ」の2013年ベストラーメンに輝いたことが、この言葉を実証している。


営業の概況 出店の際「立地」を断念 激戦区だからこその利点も

目的意識がないと行き着けない奥まった店舗

目的意識がないと行き着けない奥まった店舗
 「麺屋 翔」は2007年4月開業。立地はJR新宿駅西口から「表記では徒歩7分になっていますが、それは完全に道が分かっている場合。迷うと17分ですかね」と冗談めかして言うように、小滝橋通りから奥に入った迷路のような場所にある。
大橋氏は店舗条件のうち「居抜きであることと、厨房の広さを優先させました。最初は一人で回せる広さも考えたんですが、先々、新しいラーメンに挑戦するときのことを考えると、厨房にキャパが欲しいと思いました」と独立1号店としては厨房の幅、奥行きともに余裕がある。坪数13.3坪、席数はカウンター12席。

味玉つけ麺(890円)

味玉つけ麺(890円)
鶏白湯のつけだれは絶品のまろやかさ
 一方、駅からの距離と周辺環境は合格とは言い難い。奥まった場所にあるのでフラリと立ち寄る客はあまり期待できない小滝橋通りには有名店が群雄割拠している。「店の存在を知ってもらうまでは苦労しましたね。それでも、ラーメン好きが集まる地域だからこそチャンスあるんです」と商機をつかんでからはこの立地が有利に働いた。
来客数は1日平均250人。客単価平均960円。ランチ時は店の外に人が並び、昼の部が終わる午後3時まで絶えず回転している。
店名の「翔」は両親が名付け親。池袋の「ラーメン名作座」に出店したときに付けた屋号だ。「最初、両親の名前から1文字ずつもらおうかと思ったんですが、親から『そんな名前は恥ずかしい』と言われて。親が考えてくれたこの1文字の屋号に決めました」と大橋氏。「迷惑をかけた親に孝行するには、ラーメンで成功するしかない」とかつて心に誓ったことを果たしている。


特徴と調理 原価率40%超でも味優先 スープは鶏だし100%

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鶏白湯のつけだれをひと晩、冷蔵庫で寝かせた状態。コラーゲンと鶏油が凝縮している
 「麺屋 翔」の看板ラーメンは「香彩鶏だし味玉塩らーめん」。修業時代に教えを乞うた「麺処 ほん田」の本田裕樹店主とのコラボが原型となり、日々研究と改良を重ねた逸品だ。
スープは165ℓの寸胴で鶏がら60㎏、丸鶏4羽を9時間炊き、こしたのちにひと晩寝かせる。塩だれはフランスのゲランドの塩、内モンゴルの天外天塩、イタリアの岩塩、赤穂の天塩の4種類をブレンド。そこに酒、みりん、鯖節、鰹節、煮干し、干しエビを加える。麺は細麺ストレート130g。具は味付け後に桜チップで薫製した豚ばらチャーシュー、メンマ、味玉、水菜、白髪ネギ、糸唐辛子、味のアクセントに干しエビを使用。

椎茸などが入った鍋。水曜限定の味噌らーめん用のスープ。素材にこだわり原価率は40%超に

椎茸などが入った鍋。水曜限定の味噌らーめん用のスープ。素材にこだわり原価率は40%超に

 「味玉つけ麺」は、スープは鶏がら55㎏、モミジ60㎏、丸鶏3羽を炊き、約4時間後にいったん鶏がらを取り出し、追いだしして炊く。白濁するまで約10時間炊き続け、鶏白湯が完成する。たれは濃口醤油、ナンプラー、みりん、鯖節、鰹節、煮干し、干し貝柱を使
用。麺は太麺ストレート。並盛220g、中盛330g(+50円)、大盛440g(+100円)。具は豚肩ロースと鶏むね肉の2種類の低温チャーシュー、メンマ、味玉、カニ味噌とワサビのグリーンソース、レモン。
豚は「桜島美湯豚」、鶏は「大山地鶏」、卵は「那須御養卵」など素材にこだわり、原価率はなんと40% を超える。「お金もうけを考えながらうまいラーメンは作れませんから」と潔い。


「麺屋 翔」の愛用食材

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那須御養卵
販売元=稲見商店(栃木県大田原市)
規格=180個
箸でつまめる黄身

那須御養卵は甘味が強くつやがあり、卵特有の生臭さはないが味が濃い。割ると黄身がぷっくりと盛り上がり、箸でつまんで持ち上がるくらいしっかりしている。餌の種類と配合に研究を重ね、合成着色料、抗生物質は一切使用していない。「味玉にしたときの黄身の色つやが抜群にいいですね。甘味がありコクのある味わいが、うちのスープに合います」

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ゲランドの塩
販売元=アクアメール(東京都港区)
規格=1㎏
まろやか味が決め手

フランス・ブルターニュ半島ゲランドの塩田で、熟練の塩職人が伝統製法で作り続ける海の塩「ゲランドの塩」。料理の素材が持つ本来のおいしさを引き出し、シンプルな料理ほど味の違いが明確になる。「塩らーめんのたれに使う塩の選択は、いろいろ悩みました。4種類の塩をブレンドしていますが、この塩はまろやかさが気に入っています」


ハマる人間は強い

大橋 望(おおはし・のぞみ)

大橋 望(おおはし・のぞみ)
1977年北海道札幌市生まれ。6歳年上の姉は上京して大手通信情報システム会社に就職していたが、大橋氏が高校生のときに脱サラをして、千歳船橋にある「ひむか屋」の共同経営者となる。「せっかく東京のいい会社に就職できたのに」と親は猛反対した。大橋氏は札幌の大学を卒業後、帯広の会社に就職したが、姉が語るラーメンにかける夢に影響され25歳のときに退職。上京して「ひむか屋」で働き始める。「『子ども2人をラーメンにとられた』と親は嘆きましたね」と親の反対を押し切ってまで自分の道を選択した分、不退転の覚悟で上京。「自分はラーメンに人生をかけるんだと覚悟を決めました。ハマることを見つけた人間は強いですよね」と言うが、満足に包丁すら持ったことがない状態からの修業が始まる。4年間の修業後、当時の「池袋ひかり町ラーメン名作座」の経営者から「店を出さないか」と声をかけられたことを契機に「ひむか屋」を退職。独立して「麺屋 翔」を出店。しかし、その5ヵ月後に「ラーメン名作座」が閉館したのに伴い閉店。その1年後、2007年4月、29歳を迎える年に、現在地で再スタートを切る。

adminラーメントレンド思いっきり投げたボールは必ず返ってくる 人との〝信頼残高〞を積む 新宿西口大ガードから続く小滝橋通りは、都内でも屈指のラーメン激戦区だ。徒歩わずか10分圏内に、あの「麺屋武蔵」がのれんを掲げ、「ラーメン二郎」「蒙古タンメン中本」など錚々(そうそう)たる有名店が控えている。ラーメン好きが集まる地域だけに、彼らに受け入れられた店には長い行列ができるが、その一方で消えていく店も後を絶たない。明暗を大きく分けるこのエリアで8年間店を構え、現在月商780万円を売上げる「麺屋 翔」の山あり谷ありのストーリーを取材した。 麺屋 翔 所在地=東京都新宿区西新宿7-22-34 営業時間=月~金:午前11 時~午後3 時、6 時~11 時 土・日・祝:午前11 時~午後3 時、5 時~9 時、無休 香彩鶏だし味玉塩らーめん 890円 味玉つけ麺 890円 桜チップで薫製したチャーシューで「香」を、水菜と糸唐辛子で「彩」を演出 ファン作りこそ経営の第一歩 客とのコミュニケーションを何よりも大事にする大橋店主  「苦節○年間」という表現があるが、「麺屋 翔」の大橋望店主のラーメン人生は、まさにこの言葉が当てはまる。 東京でラーメン店を始めた姉の影響を受けた大橋氏は、25歳のときに会社を退職して、姉のもとで働き始める。両親からは「大学まで出してラーメン屋なんて……」と反対されての決意だった。 ゼロから修業を始め、4年目のときに店を退職し、当時、池袋にあったラーメン店の集合施設「ラーメン名作座」に「麺屋 翔」を出店。月500万円を売上げるが、5ヵ月後、同施設の閉館と同時に閉店。その挫折にめげず1年後に店を復活させ、不利な立地を克服して月商170万円までになる。1度挫折を体験しているだけに、普通なら今度こそは成功ヒストリーとなるはずが、ラーメンの神様はそれほど甘くはなかった。 「月170万円稼げれば、このままでも大丈夫と気持ちにスキが生まれたのがいけなかったのでしょうね」と振り返る。売上げが徐々に落ち始め、開業から5年目には、妻子を養うためにファミレスでアルバイトをするまでになっていた。 そんなときに思わぬ機会が巡ってくる。売れない店を再生させるという内容のテレビ番組への出演オファーだった。「店が立ち直るきっかけになるなら」と出演を承諾し、21日間のガチの修業が始まる。師匠は「麺屋こうじグループ」代表の田代浩二氏。これまでに「中華蕎麦 とみ田」「麺屋一燈」「つけ麺 道」「麺処 ほん田」などの店主を輩出してきた人物だ。田代氏と出会い、その厳しい修業を最後までやり抜いた大橋氏は、今度こそラーメンと真正面から向き合う店主へと成長した。 田代氏の教えの中に「味を売るのではなく、自分自身を売れ」というメッセージがある。「今はどこの店もうまい。その中で自分の店に足を運んでいただくには、お客さんに大橋望のファンになってもらうことだ」と教えられた大橋氏は、ファン作りのために、徹底して客とコミュニケーションをとる。声をかけるだけではなく、客の話を聞く。ブログは最初の2年間は1日も休まず更新し、3年間で1700回近くアップした。「お客さんから『この間行った○○のラーメンがうまかった』と薦められ、『今度行ってみます』と返事をしたら、その日のうちに行ってブログにアップします」と接客用のサービストークではなく有言実行する。「それがお客さんとの信頼〝残高〞を積むんです。お客さんに限らず人とのつながりは、信頼を一つずつ積み上げていくことが大事なんですね」 大橋氏は「気持ちを込めて思いっきり投げたボールは必ず返ってくる」と言う。「すぐには結果が出なくても、長い目でみれば必ず現在につながります」と。テレビ番組放送後、3年間かけて店を月商780万円に成長させ、「食べログ」の2013年ベストラーメンに輝いたことが、この言葉を実証している。 営業の概況 出店の際「立地」を断念 激戦区だからこその利点も 目的意識がないと行き着けない奥まった店舗  「麺屋 翔」は2007年4月開業。立地はJR新宿駅西口から「表記では徒歩7分になっていますが、それは完全に道が分かっている場合。迷うと17分ですかね」と冗談めかして言うように、小滝橋通りから奥に入った迷路のような場所にある。 大橋氏は店舗条件のうち「居抜きであることと、厨房の広さを優先させました。最初は一人で回せる広さも考えたんですが、先々、新しいラーメンに挑戦するときのことを考えると、厨房にキャパが欲しいと思いました」と独立1号店としては厨房の幅、奥行きともに余裕がある。坪数13.3坪、席数はカウンター12席。 味玉つけ麺(890円) 鶏白湯のつけだれは絶品のまろやかさ  一方、駅からの距離と周辺環境は合格とは言い難い。奥まった場所にあるのでフラリと立ち寄る客はあまり期待できない小滝橋通りには有名店が群雄割拠している。「店の存在を知ってもらうまでは苦労しましたね。それでも、ラーメン好きが集まる地域だからこそチャンスあるんです」と商機をつかんでからはこの立地が有利に働いた。 来客数は1日平均250人。客単価平均960円。ランチ時は店の外に人が並び、昼の部が終わる午後3時まで絶えず回転している。 店名の「翔」は両親が名付け親。池袋の「ラーメン名作座」に出店したときに付けた屋号だ。「最初、両親の名前から1文字ずつもらおうかと思ったんですが、親から『そんな名前は恥ずかしい』と言われて。親が考えてくれたこの1文字の屋号に決めました」と大橋氏。「迷惑をかけた親に孝行するには、ラーメンで成功するしかない」とかつて心に誓ったことを果たしている。 特徴と調理 原価率40%超でも味優先 スープは鶏だし100% 鶏白湯のつけだれをひと晩、冷蔵庫で寝かせた状態。コラーゲンと鶏油が凝縮している  「麺屋 翔」の看板ラーメンは「香彩鶏だし味玉塩らーめん」。修業時代に教えを乞うた「麺処 ほん田」の本田裕樹店主とのコラボが原型となり、日々研究と改良を重ねた逸品だ。 スープは165ℓの寸胴で鶏がら60㎏、丸鶏4羽を9時間炊き、こしたのちにひと晩寝かせる。塩だれはフランスのゲランドの塩、内モンゴルの天外天塩、イタリアの岩塩、赤穂の天塩の4種類をブレンド。そこに酒、みりん、鯖節、鰹節、煮干し、干しエビを加える。麺は細麺ストレート130g。具は味付け後に桜チップで薫製した豚ばらチャーシュー、メンマ、味玉、水菜、白髪ネギ、糸唐辛子、味のアクセントに干しエビを使用。 椎茸などが入った鍋。水曜限定の味噌らーめん用のスープ。素材にこだわり原価率は40%超に  「味玉つけ麺」は、スープは鶏がら55㎏、モミジ60㎏、丸鶏3羽を炊き、約4時間後にいったん鶏がらを取り出し、追いだしして炊く。白濁するまで約10時間炊き続け、鶏白湯が完成する。たれは濃口醤油、ナンプラー、みりん、鯖節、鰹節、煮干し、干し貝柱を使 用。麺は太麺ストレート。並盛220g、中盛330g(+50円)、大盛440g(+100円)。具は豚肩ロースと鶏むね肉の2種類の低温チャーシュー、メンマ、味玉、カニ味噌とワサビのグリーンソース、レモン。 豚は「桜島美湯豚」、鶏は「大山地鶏」、卵は「那須御養卵」など素材にこだわり、原価率はなんと40% を超える。「お金もうけを考えながらうまいラーメンは作れませんから」と潔い。 「麺屋 翔」の愛用食材 那須御養卵 販売元=稲見商店(栃木県大田原市) 規格=180個 箸でつまめる黄身 那須御養卵は甘味が強くつやがあり、卵特有の生臭さはないが味が濃い。割ると黄身がぷっくりと盛り上がり、箸でつまんで持ち上がるくらいしっかりしている。餌の種類と配合に研究を重ね、合成着色料、抗生物質は一切使用していない。「味玉にしたときの黄身の色つやが抜群にいいですね。甘味がありコクのある味わいが、うちのスープに合います」 ゲランドの塩 販売元=アクアメール(東京都港区) 規格=1㎏ まろやか味が決め手 フランス・ブルターニュ半島ゲランドの塩田で、熟練の塩職人が伝統製法で作り続ける海の塩「ゲランドの塩」。料理の素材が持つ本来のおいしさを引き出し、シンプルな料理ほど味の違いが明確になる。「塩らーめんのたれに使う塩の選択は、いろいろ悩みました。4種類の塩をブレンドしていますが、この塩はまろやかさが気に入っています」 ハマる人間は強い 大橋 望(おおはし・のぞみ) 1977年北海道札幌市生まれ。6歳年上の姉は上京して大手通信情報システム会社に就職していたが、大橋氏が高校生のときに脱サラをして、千歳船橋にある「ひむか屋」の共同経営者となる。「せっかく東京のいい会社に就職できたのに」と親は猛反対した。大橋氏は札幌の大学を卒業後、帯広の会社に就職したが、姉が語るラーメンにかける夢に影響され25歳のときに退職。上京して「ひむか屋」で働き始める。「『子ども2人をラーメンにとられた』と親は嘆きましたね」と親の反対を押し切ってまで自分の道を選択した分、不退転の覚悟で上京。「自分はラーメンに人生をかけるんだと覚悟を決めました。ハマることを見つけた人間は強いですよね」と言うが、満足に包丁すら持ったことがない状態からの修業が始まる。4年間の修業後、当時の「池袋ひかり町ラーメン名作座」の経営者から「店を出さないか」と声をかけられたことを契機に「ひむか屋」を退職。独立して「麺屋 翔」を出店。しかし、その5ヵ月後に「ラーメン名作座」が閉館したのに伴い閉店。その1年後、2007年4月、29歳を迎える年に、現在地で再スタートを切る。あたらしい視点でラーメンを伝える情報誌!