醤油らーめん (680円)

醤油らーめん (680円)

自家製麺 ばくばく
所在地=千葉県木更津市潮見5─1─30
営業時間=午前11時~午後3時半、5時半~9時、月曜定休
「TRY認定ラーメン大賞」の「しょうゆ部門新人賞」を受賞。2種類の生醤油と再仕込み醤油を使用し、繊細な醤油の味と香りを出す


こだわり追求より地元客の満足を優先

「日本一うまいと自分が思うラーメンを作っていればいいと思っていた。そうすればお客さんは満足してくれるものだと思っていたんです」と、太田和優店主は以前の思いを振り返る。しかし、今は「お客さんがおいしいと思ってくださるラーメンを作ること、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供することが自分の仕事」と言い切る。開店から2年。何が彼を変えたのか? その軌跡を追った。


つけ麺の繁盛でひと皮むける

「自家製麺 ばくばく」は兄弟で経営している

「自家製麺 ばくばく」は兄弟で経営している。兄の優氏は大学卒業後、都内2店舗での修業を経て、弟の駿氏は高校卒業後、やはり都内で修業を経験したあと、地元に帰り2011年5月に開業。
兄弟揃って、自分たちがおいしいと思うラーメン作りに没頭した。自家製麺にこだわったのも、そのひとつ。「自分が一番おいしいと思う麺を作れることが、自家製麺の強み。その日の気温や湿度によって粉の状態は異なりますから、毎日、水分量を微調整します」と決して手を抜かない。
おいしいラーメンを作っていればいい。それが店の繁盛につながると信じて疑わなかった。「TRY認定ラーメン大賞」の「しょうゆ部門新人賞」を受賞して、その信念はさらに強固なものとなる。しかし、それが少しずつ揺らぎ始めた。
「自分たちにとっては、うちの一番は〝醤油らーめん〟だったんです。ラーメン業界やフリークの人たちも、そう思っていたと思う。つけ麺は、もちろん自信はありますが、ラーメン通の人たちから見れば、都内にはよくあるという印象だったと思うんです」と優氏。ところが、開店以来、つけ麺より醤油らーめんの方が売れた日は、1日たりともなかった。TRY大賞の新人賞を受賞しようと、テレビや雑誌の取材で醤油らーめんをPRしようともだ。その状態が1年半続いた。
都内なら、濃厚豚骨魚介つけ麺は珍しくない。しかし、立地は木更津。つけ麺店は希少だ。しかも、店の近くには臨海工業地帯の工場が並ぶ。そこで働く人たちの味覚には、さっぱり味の醤油らーめんより、ガツンと濃厚なつけめんが合う。自家製麺のおいしさも、つけ麺の方が際立つ。
「それで考えたんですよ。自分たちがおいしいと思うものを出す店にしたいのか、それともお客さんに喜ばれる店にしたいのかって」。2人が出した結論は、もちろん「お客さんに喜んでもらえる店」。そこから味作りも変わった。「こっちの方がお客さんの好みに合うかなと、お客さんの視点で味を考えるようになりましたね」と語る優氏には、殻をひとつ破ったたくましさがあった。
の「しょうゆ部門新人賞」を受賞。2種類の生醤油と再仕込み醤油を使用し、繊細な醤油の味と香りを出す


濃厚つけめん (750円)

濃厚つけめん (750円)

今や、注文の7~8割を占める。豚骨魚介の濃厚なつけ汁が、臨海工業地帯で働くガテン系の人たちの味覚をとらえている


カスタマイズに徹したサービスに転換 激戦区・木更津の工業地帯で健闘

ラーメン店の立地としては厳しい工業地帯の一角だが車での来店客が集う

ラーメン店の立地としては厳しい工業地帯の一角だが車での来店客が集う

開店は2011年5月。店舗立地はJR木更津駅から約2㎞。駐車スペース11台分。当初から「地元で開業」を目指していたが、木更津はラーメン激戦区のため、条件のいい立地には開店する余地がなく、物件探しに1年弱を費やして現在地に。12.5坪、19席。客層は、平日の昼間は近くの工場で働く人たちがメーン。大半が常連客。
「つけめんのスープ割りは、以前は自分たちで注いでいました。というのは、一番おいしいスープ割りの量があるからです。でも今はポットで提供して、お客さんにそれぞれ自分の好みで入れていただくようにしています。そうしたら、常連さんから『前からその方がいいと思ってたんだよ』って言われて。お客さんとのコミュニケーションも以前よりずっとよくなりましたね」
来店者数は平日昼80人、夜40人。土日昼120人、夜40人。客単価900円。


コッテリとアッサリのコントラスト 妥協なく兄弟が対等に意見交換

濃厚つけ麺のスープは豚足、げんこつ、もみじ、煮干しでとる。たれはうま味の強い醤油に数種類の調味料、魚介のだしを加えて、1週間寝かせてから使用。麺は国産小麦にもっちり感を出すためにうどん用の国産小麦をまぜ、かん水を加える。麺は打ったその日に使用。チャーシューは豚ばら肉を弱火でじっくりコトコト煮込み、特製のたれで味付けする。メンマはやわらかな食感の穂先メンマを使用。
醤油らーめんのスープは比内地鶏のがら、親鶏の丸鶏、羅臼昆布、サンマ節、本枯鰹節でとる。麺はコシが出る国産小麦、全粒粉、卵、かん水をまぜ、1日寝かせて熟成させる。豚肩ロースを低温調理したチャーシューは、うま味が凝縮されてジューシー。メンマはつけめんと同じ、穂先メンマを使用。たれは醤油を際立たせるために香りのいい生醤油2種類をブレンドし、そこに醤油の味の濃い再仕込みを加えて、醤油を強調している。つけめん、ラーメンとも無化調。
味や麺作りについては2人で相談して決める。兄の優氏が優先することはない。「弟は5歳も年下だから端からみると、自分が主導のようにみえるかもしれませんが、まったくそんなことはないんです。レシピの変更も交代でやってます。その方がおいしくなる」と優氏。


太田和 優(おおたわ・ゆう)

太田和 優(おおたわ・ゆう)

ラーメン好きな兄弟が地元で開業
兄・優氏は建築家志望からの大転換

優氏は1985年、千葉県木更津市生まれ。
高校生のとき、都内に買い物に行くたびにラーメン店に寄っているうちにラーメンのとりこに。大学は建築科に進学。建築家になるつもりで就活中に「自分が本当にやりたことは、建築家じゃない。ラーメン屋だ」と目覚め、両親、恩師、友人らの驚きをよそに高田馬場の「渡なべ」に就職。1年半、同店で味の勉強をした後、「店舗経営を学ぶ目的で」世田谷区野沢の「せたが屋」に転職。

太田和 駿(おおたわ・しゅん)

太田和 駿(おおたわ・しゅん)

ラーメン好きな兄弟が地元で開業
兄・優氏は建築家志望からの大転換

駿氏は1990年生まれ。高校時代に兄と一緒にラーメンの食べ歩きをしているうちに、兄に勝るとも劣らないラーメン好きになる。高校卒業後、都立家政の「麺や七彩」に就職。
優氏は「独立して自分の店を持つことが目標でしたから、ダラダラ修業をしていても仕方ない。経営の勉強も1年と決めていました」と退職。半年遅れて、駿氏も「麺や七彩」を辞して、兄弟で地元の木更津市で開業。


自家製麺ばくばくの愛用食材 【弓削多 吟醸純生しょうゆ】

弓削多 吟醸純生しょうゆ

弓削多醤油(株)
埼玉県坂戸市多和目475番地
☎049・286・0811
http://yugeta.com/annai/kaisha.html

国内産有機の丸大豆と小麦
塩はメキシコ産天日塩を使用

もろみから搾ったままを瓶詰めした、無殺菌・成分無調整・無フィルターろ過の醤油。杉製の木桶で天然醸造し、1年間の長期熟成。「しぼり日」を商品ごとに記載している。まろやかでだし醤油のような風味がある。「醤油の香りがよく、うちの醤油らーめんの決め手です」と言う。生醤油独特の風味は刺し身や豆腐などのつけ醤油として使用すると、甘味を感じ、素材のうま味が引き立つ。

adminラーメントレンド醤油らーめん (680円) 自家製麺 ばくばく 所在地=千葉県木更津市潮見5─1─30 営業時間=午前11時~午後3時半、5時半~9時、月曜定休 「TRY認定ラーメン大賞」の「しょうゆ部門新人賞」を受賞。2種類の生醤油と再仕込み醤油を使用し、繊細な醤油の味と香りを出す こだわり追求より地元客の満足を優先 「日本一うまいと自分が思うラーメンを作っていればいいと思っていた。そうすればお客さんは満足してくれるものだと思っていたんです」と、太田和優店主は以前の思いを振り返る。しかし、今は「お客さんがおいしいと思ってくださるラーメンを作ること、お客さんに喜んでもらえるサービスを提供することが自分の仕事」と言い切る。開店から2年。何が彼を変えたのか? その軌跡を追った。 つけ麺の繁盛でひと皮むける 「自家製麺 ばくばく」は兄弟で経営している。兄の優氏は大学卒業後、都内2店舗での修業を経て、弟の駿氏は高校卒業後、やはり都内で修業を経験したあと、地元に帰り2011年5月に開業。 兄弟揃って、自分たちがおいしいと思うラーメン作りに没頭した。自家製麺にこだわったのも、そのひとつ。「自分が一番おいしいと思う麺を作れることが、自家製麺の強み。その日の気温や湿度によって粉の状態は異なりますから、毎日、水分量を微調整します」と決して手を抜かない。 おいしいラーメンを作っていればいい。それが店の繁盛につながると信じて疑わなかった。「TRY認定ラーメン大賞」の「しょうゆ部門新人賞」を受賞して、その信念はさらに強固なものとなる。しかし、それが少しずつ揺らぎ始めた。 「自分たちにとっては、うちの一番は〝醤油らーめん〟だったんです。ラーメン業界やフリークの人たちも、そう思っていたと思う。つけ麺は、もちろん自信はありますが、ラーメン通の人たちから見れば、都内にはよくあるという印象だったと思うんです」と優氏。ところが、開店以来、つけ麺より醤油らーめんの方が売れた日は、1日たりともなかった。TRY大賞の新人賞を受賞しようと、テレビや雑誌の取材で醤油らーめんをPRしようともだ。その状態が1年半続いた。 都内なら、濃厚豚骨魚介つけ麺は珍しくない。しかし、立地は木更津。つけ麺店は希少だ。しかも、店の近くには臨海工業地帯の工場が並ぶ。そこで働く人たちの味覚には、さっぱり味の醤油らーめんより、ガツンと濃厚なつけめんが合う。自家製麺のおいしさも、つけ麺の方が際立つ。 「それで考えたんですよ。自分たちがおいしいと思うものを出す店にしたいのか、それともお客さんに喜ばれる店にしたいのかって」。2人が出した結論は、もちろん「お客さんに喜んでもらえる店」。そこから味作りも変わった。「こっちの方がお客さんの好みに合うかなと、お客さんの視点で味を考えるようになりましたね」と語る優氏には、殻をひとつ破ったたくましさがあった。 の「しょうゆ部門新人賞」を受賞。2種類の生醤油と再仕込み醤油を使用し、繊細な醤油の味と香りを出す 濃厚つけめん (750円) 今や、注文の7~8割を占める。豚骨魚介の濃厚なつけ汁が、臨海工業地帯で働くガテン系の人たちの味覚をとらえている カスタマイズに徹したサービスに転換 激戦区・木更津の工業地帯で健闘 ラーメン店の立地としては厳しい工業地帯の一角だが車での来店客が集う 開店は2011年5月。店舗立地はJR木更津駅から約2㎞。駐車スペース11台分。当初から「地元で開業」を目指していたが、木更津はラーメン激戦区のため、条件のいい立地には開店する余地がなく、物件探しに1年弱を費やして現在地に。12.5坪、19席。客層は、平日の昼間は近くの工場で働く人たちがメーン。大半が常連客。 「つけめんのスープ割りは、以前は自分たちで注いでいました。というのは、一番おいしいスープ割りの量があるからです。でも今はポットで提供して、お客さんにそれぞれ自分の好みで入れていただくようにしています。そうしたら、常連さんから『前からその方がいいと思ってたんだよ』って言われて。お客さんとのコミュニケーションも以前よりずっとよくなりましたね」 来店者数は平日昼80人、夜40人。土日昼120人、夜40人。客単価900円。 コッテリとアッサリのコントラスト 妥協なく兄弟が対等に意見交換 濃厚つけ麺のスープは豚足、げんこつ、もみじ、煮干しでとる。たれはうま味の強い醤油に数種類の調味料、魚介のだしを加えて、1週間寝かせてから使用。麺は国産小麦にもっちり感を出すためにうどん用の国産小麦をまぜ、かん水を加える。麺は打ったその日に使用。チャーシューは豚ばら肉を弱火でじっくりコトコト煮込み、特製のたれで味付けする。メンマはやわらかな食感の穂先メンマを使用。 醤油らーめんのスープは比内地鶏のがら、親鶏の丸鶏、羅臼昆布、サンマ節、本枯鰹節でとる。麺はコシが出る国産小麦、全粒粉、卵、かん水をまぜ、1日寝かせて熟成させる。豚肩ロースを低温調理したチャーシューは、うま味が凝縮されてジューシー。メンマはつけめんと同じ、穂先メンマを使用。たれは醤油を際立たせるために香りのいい生醤油2種類をブレンドし、そこに醤油の味の濃い再仕込みを加えて、醤油を強調している。つけめん、ラーメンとも無化調。 味や麺作りについては2人で相談して決める。兄の優氏が優先することはない。「弟は5歳も年下だから端からみると、自分が主導のようにみえるかもしれませんが、まったくそんなことはないんです。レシピの変更も交代でやってます。その方がおいしくなる」と優氏。 太田和 優(おおたわ・ゆう) ラーメン好きな兄弟が地元で開業 兄・優氏は建築家志望からの大転換 優氏は1985年、千葉県木更津市生まれ。 高校生のとき、都内に買い物に行くたびにラーメン店に寄っているうちにラーメンのとりこに。大学は建築科に進学。建築家になるつもりで就活中に「自分が本当にやりたことは、建築家じゃない。ラーメン屋だ」と目覚め、両親、恩師、友人らの驚きをよそに高田馬場の「渡なべ」に就職。1年半、同店で味の勉強をした後、「店舗経営を学ぶ目的で」世田谷区野沢の「せたが屋」に転職。 太田和 駿(おおたわ・しゅん) ラーメン好きな兄弟が地元で開業 兄・優氏は建築家志望からの大転換 駿氏は1990年生まれ。高校時代に兄と一緒にラーメンの食べ歩きをしているうちに、兄に勝るとも劣らないラーメン好きになる。高校卒業後、都立家政の「麺や七彩」に就職。 優氏は「独立して自分の店を持つことが目標でしたから、ダラダラ修業をしていても仕方ない。経営の勉強も1年と決めていました」と退職。半年遅れて、駿氏も「麺や七彩」を辞して、兄弟で地元の木更津市で開業。 自家製麺ばくばくの愛用食材 【弓削多 吟醸純生しょうゆ】 弓削多醤油(株) 埼玉県坂戸市多和目475番地 ☎049・286・0811 http://yugeta.com/annai/kaisha.html 国内産有機の丸大豆と小麦 塩はメキシコ産天日塩を使用 もろみから搾ったままを瓶詰めした、無殺菌・成分無調整・無フィルターろ過の醤油。杉製の木桶で天然醸造し、1年間の長期熟成。「しぼり日」を商品ごとに記載している。まろやかでだし醤油のような風味がある。「醤油の香りがよく、うちの醤油らーめんの決め手です」と言う。生醤油独特の風味は刺し身や豆腐などのつけ醤油として使用すると、甘味を感じ、素材のうま味が引き立つ。あたらしい視点でラーメンを伝える情報誌!