ブレを防ぐ〝ありそうでなかった〞製品開発

 寸胴、てぼ、ゆで麺機など、ラーメン店に不可欠な厨房用具は多々ある。だが、それらのほとんどは、実はラーメン専用の用具ではなく、そば・うどん、中華、洋食のために開発・製造されたものだ。㈱シンセイは、そんな用具環境を改善すべく2008年9月、ラーメン厨房用具販売店として起業した。ラーメン店の声を集約し、自ら製品開発を指揮する水村英吾部長に、最近の厨房ニーズとヒット製品について聞いた。

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水村 英吾(みずむら・えいご)

1978年、東京都葛飾区生まれ。大学卒業後、友人と始めた古美術商で営業を経て2004年、厨房用具卸㈱カンダに入社。営業職を経て2007年、業界仲間とともに㈱シンセイを起業。ラーメン用具だけでなく、食器や容器の販売、各種飲食店の厨房用具や営業用具の販売を手がける。

「ラーメン用具と用具開発ならおまかせ!」と水村営業部長(右)と製品企画を担当する植木氏


「パワーてぼ」ヒットで潜在ニーズを確信

ラーメン専用が皆無

――起業のきっかけは?

 水村 それまで、厨房用具卸の㈱カンダに勤めていて、各地の販売店を回っていました。ラーメン用具に目を向けたきっかけは7年前、ラーメン専用の「パワーてぼ」が登場して、湯切りパフォーマンスが流行したことです。
 考えてみれば、てぼは、立ち食いそば店用に開発されたもの。ラーメン店で古くから使われている平網も本来はそば店用。寸胴は中華用、レードルは洋食用。改めて「ラーメン専用の厨房用具は皆無」だと気づかされ、ラーメン用具の潜在ニーズを確信したんです。
 そしてラーメン店を廻って聞いてみると、思った通り、お役に立てる仕事が山ほどあるなと。でもこの業界、卸がユーザーに直接販売する商慣行がないので、カンダと話し合って、販売会社として独立しました。現在、カンダをはじめ用具メーカーの多くと連携し、ラーメン専用の厨房用具を開発・提案しております。

味のブレを改善

――どんなニーズが強い?

 水村 やはり「味のブレを改善したい」という要望です。店主の方は、調味料なら1㏄、温度・湿度なら1度、濃度なら小数点単位でこだわりますからね。店主の仕事を割り振るため、計器類のニーズは年々高まっています。
 それと国産の寸胴。寸胴は割安な海外産が主流なのですが、割安な分、厚みのムラが大きい。これがブレの原因となります。作り手、作る店、レシピが同じでも、寸胴により味がブレるのは厚みにムラがあるからです。なので割高でも厚みが均一な国産の寸胴をお薦めしてます。

1㏄単位のオーダーメード

――最近のヒット商品は?

 水村 身近な用具では「1㏄単位でオーダーメイドできるレードル」ですね。レードルの既製品は5㏄単位でラインアップされています。でも、ラーメン作りの場合、かえしや香味油を5㏄単位で区切ることはできません。店主がこだわる7㏄とか8㏄という半端な分量を目で計っているわけです。それを効率化するためには、マニュアル化できるレードルが必要。そう確信し、卸とメーカーと相談して、1㏄単位のオーダーメードを実現しました。

――高そうですね?

 水村 いえいえ、お買い得ですよ。オーダーメードといっても金型から作るわけではなく、既製品のレードルをベースにカップの縁をグラインダーで削って、カップの深さを調整するだけなので、それほど難しくはありません。まさに〝ありそうでなかったラーメン用具〞だと自負しており、お客さまにも満足いただいております。レードルをコレクションされる方もいるくらいです。

開発の切り口は豊富

――ほかのヒット商品は?

 水村 「ステンレス製しゃもじ」が売れていますね。しゃもじは依然、木製が主流ですが、木製だと先ヘラが半年くらいで消耗してしまいます。ステンレス製の既製品もありますが、給食厨房の大量調理用なので、使い方がハードなラーメン店だと、先ヘラが折れてしまいます。そこで、先ヘラを頑丈にしたステンレス製しゃもじをメーカーと開発しました。これもラーメン専用の用具といえますね。
 あと「蛇口付きの寸胴」も大人気。蛇口からスープを簡単に取り出せ、スープの移動、スープをこす作業にうってつけです。スープ作りが繊細かつ重労働の繁盛店で多く活用されています。これもお得意さまからヒントをいただき、開発しました。

――今後の展開は?

 水村 ラーメンの種類や食べ方は日々進化しています。その変化に対応できるよう現場の方の声を拾って、業界に貢献できる製品を開発・提案して行きます。


売れ筋ラーメン用具ベスト5

※詳細「道具屋.com」=http://www.douguya.com/ ㈱シンセイ 所在地=東京都葛飾区白鳥2‐20‐20

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1位 トルネード箸/五角箸

割り箸とエコ箸の併用が主流に
箸先にトルネード状の溝を入れたり、箸先を五角の星形に加工することで、麺を滑りにくくしたエコロジー箸。近年、割り箸とエコ箸の併用が増えており、ラーメン店でも引き合い急増中。


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2位 レードル各種

店主のこだわりをサポート
5㏄から1㏄単位でオーダーメイド可能。使い勝手と値打ち価格を両立。コレクター的に厨房インテリアに活用する店もある。


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3位 ステンバトル 120㎝

耐久力と衛生管理を両立
先へら部分を強化したステンレス製しゃもじ。木製しゃもじに比べ、折れず、かすりが出ず衛生的。3年間は折れないとか。


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4位 ウォーターピッチャー

結露防止で雑巾や受け皿は不要
内壁の二重構造により結露を緩和。湿気の多いラーメン店でもピッチャーの外壁が水浸しにならない。保冷効果もあり。


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4位 アルミ寸胴鍋蛇口付

アラの蛇口流出も防止
スープの出し入れを効率的に行える蛇口付き寸胴。内部に大型目皿が付いており、アラ(がら)の蛇口流出を防止できる。

admin統計データブレを防ぐ〝ありそうでなかった〞製品開発 寸胴、てぼ、ゆで麺機など、ラーメン店に不可欠な厨房用具は多々ある。だが、それらのほとんどは、実はラーメン専用の用具ではなく、そば・うどん、中華、洋食のために開発・製造されたものだ。㈱シンセイは、そんな用具環境を改善すべく2008年9月、ラーメン厨房用具販売店として起業した。ラーメン店の声を集約し、自ら製品開発を指揮する水村英吾部長に、最近の厨房ニーズとヒット製品について聞いた。 水村 英吾(みずむら・えいご) 1978年、東京都葛飾区生まれ。大学卒業後、友人と始めた古美術商で営業を経て2004年、厨房用具卸㈱カンダに入社。営業職を経て2007年、業界仲間とともに㈱シンセイを起業。ラーメン用具だけでなく、食器や容器の販売、各種飲食店の厨房用具や営業用具の販売を手がける。 「ラーメン用具と用具開発ならおまかせ!」と水村営業部長(右)と製品企画を担当する植木氏 「パワーてぼ」ヒットで潜在ニーズを確信ラーメン専用が皆無 ――起業のきっかけは?  水村 それまで、厨房用具卸の㈱カンダに勤めていて、各地の販売店を回っていました。ラーメン用具に目を向けたきっかけは7年前、ラーメン専用の「パワーてぼ」が登場して、湯切りパフォーマンスが流行したことです。  考えてみれば、てぼは、立ち食いそば店用に開発されたもの。ラーメン店で古くから使われている平網も本来はそば店用。寸胴は中華用、レードルは洋食用。改めて「ラーメン専用の厨房用具は皆無」だと気づかされ、ラーメン用具の潜在ニーズを確信したんです。  そしてラーメン店を廻って聞いてみると、思った通り、お役に立てる仕事が山ほどあるなと。でもこの業界、卸がユーザーに直接販売する商慣行がないので、カンダと話し合って、販売会社として独立しました。現在、カンダをはじめ用具メーカーの多くと連携し、ラーメン専用の厨房用具を開発・提案しております。 味のブレを改善 ――どんなニーズが強い?  水村 やはり「味のブレを改善したい」という要望です。店主の方は、調味料なら1㏄、温度・湿度なら1度、濃度なら小数点単位でこだわりますからね。店主の仕事を割り振るため、計器類のニーズは年々高まっています。  それと国産の寸胴。寸胴は割安な海外産が主流なのですが、割安な分、厚みのムラが大きい。これがブレの原因となります。作り手、作る店、レシピが同じでも、寸胴により味がブレるのは厚みにムラがあるからです。なので割高でも厚みが均一な国産の寸胴をお薦めしてます。 1㏄単位のオーダーメード ――最近のヒット商品は?  水村 身近な用具では「1㏄単位でオーダーメイドできるレードル」ですね。レードルの既製品は5㏄単位でラインアップされています。でも、ラーメン作りの場合、かえしや香味油を5㏄単位で区切ることはできません。店主がこだわる7㏄とか8㏄という半端な分量を目で計っているわけです。それを効率化するためには、マニュアル化できるレードルが必要。そう確信し、卸とメーカーと相談して、1㏄単位のオーダーメードを実現しました。 ――高そうですね?  水村 いえいえ、お買い得ですよ。オーダーメードといっても金型から作るわけではなく、既製品のレードルをベースにカップの縁をグラインダーで削って、カップの深さを調整するだけなので、それほど難しくはありません。まさに〝ありそうでなかったラーメン用具〞だと自負しており、お客さまにも満足いただいております。レードルをコレクションされる方もいるくらいです。 開発の切り口は豊富 ――ほかのヒット商品は?  水村 「ステンレス製しゃもじ」が売れていますね。しゃもじは依然、木製が主流ですが、木製だと先ヘラが半年くらいで消耗してしまいます。ステンレス製の既製品もありますが、給食厨房の大量調理用なので、使い方がハードなラーメン店だと、先ヘラが折れてしまいます。そこで、先ヘラを頑丈にしたステンレス製しゃもじをメーカーと開発しました。これもラーメン専用の用具といえますね。  あと「蛇口付きの寸胴」も大人気。蛇口からスープを簡単に取り出せ、スープの移動、スープをこす作業にうってつけです。スープ作りが繊細かつ重労働の繁盛店で多く活用されています。これもお得意さまからヒントをいただき、開発しました。 ――今後の展開は?  水村 ラーメンの種類や食べ方は日々進化しています。その変化に対応できるよう現場の方の声を拾って、業界に貢献できる製品を開発・提案して行きます。 売れ筋ラーメン用具ベスト5※詳細「道具屋.com」=http://www.douguya.com/ ㈱シンセイ 所在地=東京都葛飾区白鳥2‐20‐20 1位 トルネード箸/五角箸 割り箸とエコ箸の併用が主流に 箸先にトルネード状の溝を入れたり、箸先を五角の星形に加工することで、麺を滑りにくくしたエコロジー箸。近年、割り箸とエコ箸の併用が増えており、ラーメン店でも引き合い急増中。 2位 レードル各種店主のこだわりをサポート 5㏄から1㏄単位でオーダーメイド可能。使い勝手と値打ち価格を両立。コレクター的に厨房インテリアに活用する店もある。 3位 ステンバトル 120㎝ 耐久力と衛生管理を両立 先へら部分を強化したステンレス製しゃもじ。木製しゃもじに比べ、折れず、かすりが出ず衛生的。3年間は折れないとか。 4位 ウォーターピッチャー 結露防止で雑巾や受け皿は不要 内壁の二重構造により結露を緩和。湿気の多いラーメン店でもピッチャーの外壁が水浸しにならない。保冷効果もあり。 4位 アルミ寸胴鍋蛇口付 アラの蛇口流出も防止 スープの出し入れを効率的に行える蛇口付き寸胴。内部に大型目皿が付いており、アラ(がら)の蛇口流出を防止できる。あたらしい視点でラーメンを伝える情報誌!