醤油と豚骨の境界線 朱華園 中華そば 550円

醤油と豚骨の境界線 朱華園 中華そば 550円

シュウさんと呼ばれる元祖

朱華園
広島県尾道市十四日元町4─12

もはや観光名所として外せない尾道ラーメンの元祖。地元では古くから「シュウさん」と呼ばれて親しまれている。平日は地元客で賑わい、週末は観光客で行列ができる。豆粒大の背脂が印象的。

麺・スープ・たれの順番がお約束 つたふじ 中華そば 500円

麺・スープ・たれの順番がお約束 つたふじ 中華そば 500円

背脂たっぷり、中華うどんも有名

つたふじ
広島県尾道市土堂2─10─17

魚介だしがしっかり効いた醤油スープ。ミンチ状の背油のプチプチした食感が際立つ。器いっぱいに注がれるスープも特徴的。ラーメンと同じスープを使った「中華うどん」も有名。職人気質の店主をしたうファンも多い。


濃い醤油スープに豆粒大の豚の背脂を浮かす

濃い醤油スープに豆粒大の豚の背脂を浮かす

大林宣彦監督の青春映画「尾道三部作」が話題となってから、20年の歳月がたとうとしている。作品中に醤油蔵の息子が登場するように、尾道は醤油の町でもある。坂あり海ありの美しい港町の中に醤油蔵が点在している。
東京に代表される醤油ラーメンと九州に代表される豚骨ラーメンの境界線があるとしたら、岡山市と広島市の間である。岡山市が醤油ラーメン文化圏なのに対して、広島市は豚骨ラーメン文化圏である。
そして醤油蔵の町尾道には、独特な醤油ラーメン文化があり、尾道に近い福山あたりも、尾道に近い形態の醤油ラーメンが栄えている。つまり、同じ広島県の中で、尾道ラーメンと広島ラーメンが醤油ラーメン文化圏と豚骨ラーメン文化圏の境界線となるわけである。
さて、その尾道ラーメンとはいかなるラーメンなのか。まずその特徴は、濃い醤油味スープに豆粒ぐらいの大きさがある豚背脂のミンチが浮くことである。
最近首都圏でも背脂を浮かべるラーメン店は増えてきたが、その比にならないくらい粒が大きい。口に入れると泡のように溶けてしまうが、なじみのないお客には少々抵抗のある大きさである。
そして麺は中細の平打ち麺。スープが染み込み、すすり込んで喉越しを楽しむというよりは、かみしめて味のあるタイプの麺である。具はチャーシュー、メンマにネギとあくまでシンプルなスタイルだ。
このスタイルのラーメンの創始者が、尾道「朱華園」の先代、壇上正儀氏である。1947年に屋台からスタートし、67年に店舗を構え、今では県内に数店の支店を持っている。
初代は全くの独学でラーメン店をはじめ、製麺も独学で学んだ。器にゆで上げた麺を入れ、その上からスープ、たれの順番に注ぎ込むという製法は、他にはないスタイルである。この順番を変えると味も変わるという。朱華園の味が尾道で人気を呼び、徐々に市内に広がっていき、今では全国区へ。そして地元の食品メーカーが尾道ラーメンと銘打ち発信を行い、ご当地ラーメンのブランドとして名を広めることになる。
朱華園二代目の壇上俊博氏は、「尾道ラーメンなどというものはなく、ウチはウチの味」と謙遜するが、その意見は元祖ならではのごもっともな理論。しかし、全国どこのご当地ラーメンも、一軒の繁盛店の味がその地に広がったという点では、同様の話。
朱華園の味が、尾道ラーメンの味を作り出した事実は、客観的に見れば、歴史的な事実であり、それだけの独自なラーメン文化が存在している町である。
かたや、市内の製麺所「はせべ」の創業者、故・長谷部貴氏が製麺業の傍ら、独立希望者にラーメン店経営のアドバイスを積極的に行った努力もあり、尾道ラーメンは中国地方で最も有名なご当地ラーメンに成長した。
発祥店と製麺店の長年の努力が実った、ご当地ラーメンの典型的な成功例であり、郷土の文化財といっても過言ではなかろう。


尾道ラーメン事情

根強い双璧を核に百花繚乱
「背脂ミンチ+平打ち麺+小魚」の定義は後付け

尾道では古くから「朱華園」と「つたふじ」という双璧が根強く支持されている。常に行列が絶えないこの2店は、近隣のリピーターだけでなく、日本全国からお客が訪れている。尾道市の観光資源と言っても過言ではない。
一方、ご当地ラーメンとしての尾道ラーメンは食品メーカーによる定義付け(背脂ミンチ+平打ち麺+瀬戸内海の小魚)によって誕生したもの。その流れをくむ「壱番館」や「東珍康」も観光客を中心ににぎわっている。
これらの店に共通する特徴は通信販売に力を入れているところ。ちなみに小魚を使用するようになったのは1990年代に売り出されたお土産用尾道ラーメンから。それ以前の老舗ではあまり使用していない。
尾道ラーメン以外の店も数多く点在する。特に人気なのが、塩ラーメンがメーンの「有木屋」。店主は海外で寿司を握っていたという変わり種で、ラーメン店での修業経験はない。広島市内で開業した後、尾道へ移転。地元では密かな人気となっている。また、全国を席巻している「つけ麺」や「二郎系」は尾道にほとんど存在せず、全国的に見ても珍しい傾向である。

adminご当地ラーメン徹底研究醤油と豚骨の境界線 朱華園 中華そば 550円 シュウさんと呼ばれる元祖 朱華園 広島県尾道市十四日元町4─12 もはや観光名所として外せない尾道ラーメンの元祖。地元では古くから「シュウさん」と呼ばれて親しまれている。平日は地元客で賑わい、週末は観光客で行列ができる。豆粒大の背脂が印象的。 麺・スープ・たれの順番がお約束 つたふじ 中華そば 500円 背脂たっぷり、中華うどんも有名 つたふじ 広島県尾道市土堂2─10─17 魚介だしがしっかり効いた醤油スープ。ミンチ状の背油のプチプチした食感が際立つ。器いっぱいに注がれるスープも特徴的。ラーメンと同じスープを使った「中華うどん」も有名。職人気質の店主をしたうファンも多い。 濃い醤油スープに豆粒大の豚の背脂を浮かす 大林宣彦監督の青春映画「尾道三部作」が話題となってから、20年の歳月がたとうとしている。作品中に醤油蔵の息子が登場するように、尾道は醤油の町でもある。坂あり海ありの美しい港町の中に醤油蔵が点在している。 東京に代表される醤油ラーメンと九州に代表される豚骨ラーメンの境界線があるとしたら、岡山市と広島市の間である。岡山市が醤油ラーメン文化圏なのに対して、広島市は豚骨ラーメン文化圏である。 そして醤油蔵の町尾道には、独特な醤油ラーメン文化があり、尾道に近い福山あたりも、尾道に近い形態の醤油ラーメンが栄えている。つまり、同じ広島県の中で、尾道ラーメンと広島ラーメンが醤油ラーメン文化圏と豚骨ラーメン文化圏の境界線となるわけである。 さて、その尾道ラーメンとはいかなるラーメンなのか。まずその特徴は、濃い醤油味スープに豆粒ぐらいの大きさがある豚背脂のミンチが浮くことである。 最近首都圏でも背脂を浮かべるラーメン店は増えてきたが、その比にならないくらい粒が大きい。口に入れると泡のように溶けてしまうが、なじみのないお客には少々抵抗のある大きさである。 そして麺は中細の平打ち麺。スープが染み込み、すすり込んで喉越しを楽しむというよりは、かみしめて味のあるタイプの麺である。具はチャーシュー、メンマにネギとあくまでシンプルなスタイルだ。 このスタイルのラーメンの創始者が、尾道「朱華園」の先代、壇上正儀氏である。1947年に屋台からスタートし、67年に店舗を構え、今では県内に数店の支店を持っている。 初代は全くの独学でラーメン店をはじめ、製麺も独学で学んだ。器にゆで上げた麺を入れ、その上からスープ、たれの順番に注ぎ込むという製法は、他にはないスタイルである。この順番を変えると味も変わるという。朱華園の味が尾道で人気を呼び、徐々に市内に広がっていき、今では全国区へ。そして地元の食品メーカーが尾道ラーメンと銘打ち発信を行い、ご当地ラーメンのブランドとして名を広めることになる。 朱華園二代目の壇上俊博氏は、「尾道ラーメンなどというものはなく、ウチはウチの味」と謙遜するが、その意見は元祖ならではのごもっともな理論。しかし、全国どこのご当地ラーメンも、一軒の繁盛店の味がその地に広がったという点では、同様の話。 朱華園の味が、尾道ラーメンの味を作り出した事実は、客観的に見れば、歴史的な事実であり、それだけの独自なラーメン文化が存在している町である。 かたや、市内の製麺所「はせべ」の創業者、故・長谷部貴氏が製麺業の傍ら、独立希望者にラーメン店経営のアドバイスを積極的に行った努力もあり、尾道ラーメンは中国地方で最も有名なご当地ラーメンに成長した。 発祥店と製麺店の長年の努力が実った、ご当地ラーメンの典型的な成功例であり、郷土の文化財といっても過言ではなかろう。 尾道ラーメン事情 根強い双璧を核に百花繚乱 「背脂ミンチ+平打ち麺+小魚」の定義は後付け 尾道では古くから「朱華園」と「つたふじ」という双璧が根強く支持されている。常に行列が絶えないこの2店は、近隣のリピーターだけでなく、日本全国からお客が訪れている。尾道市の観光資源と言っても過言ではない。 一方、ご当地ラーメンとしての尾道ラーメンは食品メーカーによる定義付け(背脂ミンチ+平打ち麺+瀬戸内海の小魚)によって誕生したもの。その流れをくむ「壱番館」や「東珍康」も観光客を中心ににぎわっている。 これらの店に共通する特徴は通信販売に力を入れているところ。ちなみに小魚を使用するようになったのは1990年代に売り出されたお土産用尾道ラーメンから。それ以前の老舗ではあまり使用していない。 尾道ラーメン以外の店も数多く点在する。特に人気なのが、塩ラーメンがメーンの「有木屋」。店主は海外で寿司を握っていたという変わり種で、ラーメン店での修業経験はない。広島市内で開業した後、尾道へ移転。地元では密かな人気となっている。また、全国を席巻している「つけ麺」や「二郎系」は尾道にほとんど存在せず、全国的に見ても珍しい傾向である。あたらしい視点でラーメンを伝える情報誌!