とら食堂 手打中華そば 660円

とら食堂 手打中華そば 660円

手作りと当日主義を徹底

とら食堂
福島県白河市大字双石字滝ノ尻1
毎朝4時から当日限定のスープと手打ち麺を仕込む。閑散とした田園の異様な行列は、いまや白河名物。売り切れ御免の営業で、休日は約400人、平日は約300人を集客している。


白河ラーメン

白河ラーメン

伝説の〝とらさん〟が杯を片手に手打ち技を伝える
みちのくの玄関として知られる白河市。人口6万3000人の市内に100軒近くのラーメン店がある(白河では「ラーメン」を「中華そば」と記す店が多い)。
しかし、この白河の街は、これだけの数のラーメン店がありながら、ラーメン店の密集地がない。ラーメン店は市内に点在しており、その多くは、「何でこんな所に?」と思うほどの何もない所にポツリと立地しているのが特徴。車がなければとても白河のラーメン店巡りはできたものではない。大抵の店には駐車場が完備してある。
白河ラーメンの有名店である「とら食堂」には、50台近く駐車できる大きな駐車場がある。驚いたことに、その駐車場があふれんばかりに車が止められ、これまた50席はゆうにある客席に座りきれないお客が行列となって入口付近で待っているのである。周囲に民家もほとんどないような所に立地しているにもかかわらず、「いったいどこからこんなに人が集まって来るのだろう」と思ってしまう。他のラーメン店もレベルの差こそあれ、多くのお客でにぎわっている。
白河にラーメンが現れたのは1921年頃。横浜で支那そばを習得した汁粉屋が最初に提供したと伝わる。そして、白河ラーメンの基礎を作ったのが、伝説の人物“とらさん”である。とらさんこと故竹井寅次氏は、「フーテンの寅」を地でゆく酒と博打ざんまいの生活を送っていた。とら食堂のルーツとなる店は「 イ 食堂」。竹井寅次氏はこの屋台で修業をし、木の棒を使った手打ち麺の技術を覚え、69年に「中華そばとら」(73年にとら食堂へ改名)という店を出した。
その後、とら食堂以外の店は消滅したが、とらさんは酒を片手に手打ち麺の技術を弟子たちに教え、広めていった。どの地方でも1人の天才的な職人が築いた味がベースになり、その味を学んだ弟子やその味を目指してラーメン店を開いた人々の手によって、一つの文化となっていく。白河では、とらさんという人物が、そのキーマンとなったのである。このとら食堂、現在、息子の竹井和之氏が二代目として店を継ぎ、とらさんの作った味を脈々と継承している。
とらさんの師匠にあたる屋台がワンタンをメニューにしていたところからはじまり、現在でも白河のラーメン店では、ラーメンとワンタンがメニューの両輪となっている。スープは、鶏がらと豚がらを弱火で煮込む澄みきった醤油味で、キレのある味わい。麺は木の棒を使った手打麺を包丁で切った後、手もみにして縮れにひねりを加える。中太の麺は熟成した多加水麺で、ツルツルモチモチとした食感が楽しめる。
具は、チャーシュー、メンマに海苔とホウレンソウ。そして昔ながらのなると巻きも、たいていの店で使われる。チャーシューは縁を食紅で塗り、炭火で焼いてから醤油で煮るスモーキーなもの。昔ながらのスタイルだが、手間ひまかけて、麺もチャーシューも手づくりにしているところに美徳がある。
手打麺や炭火焼きチャーシューを出す店も、比率としては少なくなってきてはいるものの、古くからの店はかたくなに昔ながらのタイルを守り続けている。澄んだ醤油ラーメンの上にクラシックなスタイルの具。麺こそ全く違うものの、古きよき時代のなつかしい東京ラーメンの香りをほうふつとさせるラーメンである。なると巻きやホウレンソウを添える演出も郷愁をそそる。変わらないところが美徳のラーメンである。


火風鼎 手打チャーシューメン 880円

火風鼎 手打チャーシューメン 880円

地元で人気の個性派
立地不便もなんのその、行列も珍しくないにぎわい

火風鼎
福島県白河市鬼越44─16
鶏のうま味が効いたシャープな醤油スープと、歯応えのよい手打ち太ちぢれ麺が特徴。


白河ラーメン事情

支持基盤根強く昔ながらを踏襲
福島県には喜多方をはじめ、白河や会津若松といったラーメンの盛んな地域が点在しているが、いずれも地元志向が根強い。首都圏で流行しているラーメンはほとんど無く、地元に根付いている昔ながらの味が支持されている。
従って、新たな動向も皆無。白河ラーメンは、その典型である。人口6万人強の市内に100軒以上のラーメン店が共存し、昔ながらの味を守っていけるのは、ラーメンが“そば・うどん”と同じ感覚で受け入れられているからだ。白河にそば・うどん店が少ないのは、その裏付けといえる。
福島県内にはとら食堂で修業した「たいち」「大正」「餐」「天空」「彩華」「活力屋」「正遊」など、とら食堂系の店が多く存在する。その他にも「火風鼎」や「手打中華すずき」「手打ちラーメン英」といった個性的な人気店もあり、大半が手打ち麺を売り物にしている。機械製麺ではない麺作りが根付いているのは白河と佐野くらいのものだ。

adminご当地ラーメン徹底研究とら食堂 手打中華そば 660円 手作りと当日主義を徹底 とら食堂 福島県白河市大字双石字滝ノ尻1 毎朝4時から当日限定のスープと手打ち麺を仕込む。閑散とした田園の異様な行列は、いまや白河名物。売り切れ御免の営業で、休日は約400人、平日は約300人を集客している。 白河ラーメン 伝説の〝とらさん〟が杯を片手に手打ち技を伝える みちのくの玄関として知られる白河市。人口6万3000人の市内に100軒近くのラーメン店がある(白河では「ラーメン」を「中華そば」と記す店が多い)。 しかし、この白河の街は、これだけの数のラーメン店がありながら、ラーメン店の密集地がない。ラーメン店は市内に点在しており、その多くは、「何でこんな所に?」と思うほどの何もない所にポツリと立地しているのが特徴。車がなければとても白河のラーメン店巡りはできたものではない。大抵の店には駐車場が完備してある。 白河ラーメンの有名店である「とら食堂」には、50台近く駐車できる大きな駐車場がある。驚いたことに、その駐車場があふれんばかりに車が止められ、これまた50席はゆうにある客席に座りきれないお客が行列となって入口付近で待っているのである。周囲に民家もほとんどないような所に立地しているにもかかわらず、「いったいどこからこんなに人が集まって来るのだろう」と思ってしまう。他のラーメン店もレベルの差こそあれ、多くのお客でにぎわっている。 白河にラーメンが現れたのは1921年頃。横浜で支那そばを習得した汁粉屋が最初に提供したと伝わる。そして、白河ラーメンの基礎を作ったのが、伝説の人物“とらさん”である。とらさんこと故竹井寅次氏は、「フーテンの寅」を地でゆく酒と博打ざんまいの生活を送っていた。とら食堂のルーツとなる店は「 イ 食堂」。竹井寅次氏はこの屋台で修業をし、木の棒を使った手打ち麺の技術を覚え、69年に「中華そばとら」(73年にとら食堂へ改名)という店を出した。 その後、とら食堂以外の店は消滅したが、とらさんは酒を片手に手打ち麺の技術を弟子たちに教え、広めていった。どの地方でも1人の天才的な職人が築いた味がベースになり、その味を学んだ弟子やその味を目指してラーメン店を開いた人々の手によって、一つの文化となっていく。白河では、とらさんという人物が、そのキーマンとなったのである。このとら食堂、現在、息子の竹井和之氏が二代目として店を継ぎ、とらさんの作った味を脈々と継承している。 とらさんの師匠にあたる屋台がワンタンをメニューにしていたところからはじまり、現在でも白河のラーメン店では、ラーメンとワンタンがメニューの両輪となっている。スープは、鶏がらと豚がらを弱火で煮込む澄みきった醤油味で、キレのある味わい。麺は木の棒を使った手打麺を包丁で切った後、手もみにして縮れにひねりを加える。中太の麺は熟成した多加水麺で、ツルツルモチモチとした食感が楽しめる。 具は、チャーシュー、メンマに海苔とホウレンソウ。そして昔ながらのなると巻きも、たいていの店で使われる。チャーシューは縁を食紅で塗り、炭火で焼いてから醤油で煮るスモーキーなもの。昔ながらのスタイルだが、手間ひまかけて、麺もチャーシューも手づくりにしているところに美徳がある。 手打麺や炭火焼きチャーシューを出す店も、比率としては少なくなってきてはいるものの、古くからの店はかたくなに昔ながらのタイルを守り続けている。澄んだ醤油ラーメンの上にクラシックなスタイルの具。麺こそ全く違うものの、古きよき時代のなつかしい東京ラーメンの香りをほうふつとさせるラーメンである。なると巻きやホウレンソウを添える演出も郷愁をそそる。変わらないところが美徳のラーメンである。 火風鼎 手打チャーシューメン 880円 地元で人気の個性派 立地不便もなんのその、行列も珍しくないにぎわい 火風鼎 福島県白河市鬼越44─16 鶏のうま味が効いたシャープな醤油スープと、歯応えのよい手打ち太ちぢれ麺が特徴。 白河ラーメン事情 支持基盤根強く昔ながらを踏襲 福島県には喜多方をはじめ、白河や会津若松といったラーメンの盛んな地域が点在しているが、いずれも地元志向が根強い。首都圏で流行しているラーメンはほとんど無く、地元に根付いている昔ながらの味が支持されている。 従って、新たな動向も皆無。白河ラーメンは、その典型である。人口6万人強の市内に100軒以上のラーメン店が共存し、昔ながらの味を守っていけるのは、ラーメンが“そば・うどん”と同じ感覚で受け入れられているからだ。白河にそば・うどん店が少ないのは、その裏付けといえる。 福島県内にはとら食堂で修業した「たいち」「大正」「餐」「天空」「彩華」「活力屋」「正遊」など、とら食堂系の店が多く存在する。その他にも「火風鼎」や「手打中華すずき」「手打ちラーメン英」といった個性的な人気店もあり、大半が手打ち麺を売り物にしている。機械製麺ではない麺作りが根付いているのは白河と佐野くらいのものだ。あたらしい視点でラーメンを伝える情報誌!