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おいしさに国境なし ラーメンと寿司でエストニアの食文化 豊かに

「みそラーメン」(8.5ユーロ)。
5種類の味噌をブレンドした特製味噌だれが自慢

ラーメン人気は、もはや海外でも珍しくなくなった。とはいえ、日本人経営のラーメン店はアジアと欧米の主要都市に限られ、まだまだ未開拓国も多い。そんな中、昨年8月、北欧の小国、エストニア(首都=タリン)に初出店したのが「麺やTOKUMARU」だ。手掛けるのはエストニア留学からラーメン実業家に転じた高木大吾さん。人口134万人、旧バルト3国の一角で奮闘する高木さんに現地事情を聞いた。

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「えび塩ラーメン」(9.8ユーロ)。
ムール貝のだしとエビの風味を生かした魚介塩スープ。

RJVW6T2o「寿司セット」(13.4ユーロ)。
新鮮なノルウェーサーモン、フィンランド産スズキ、地元魚屋が作る冷製スモークサーモンの炙り握りをセットに

前人未踏の日本食ビジネス起業

――そもそもエストニアとの出会いは?

 高木 大学院在学中、エストニアから来日した教授から「エストニアに来て下さい」と誘われ、あまりに流暢(りゅうちょう)な日本語だったので、思わず「はい」と答えてしまい、首都・タリンの大学へ留学することになりました。

――エストニアはどんなところ?

高木 フィンランドの対岸で人口134万人、国土は九州と同じくらいです。コンパクトだから意思決定が早いのか、非常にIT・ID化が進んでます。取り引きの大半は電子決済できますし、「スカイプ発祥の地といえば」イメージが伝わりやすいでしょう。経済力は未熟ですが、その分、未来志向の若い活気がみなぎってます。

“日本の普通”のスゴさ現地で実感

――起業のきっかけは?

 高木 留学中、知り合いの依頼で音楽関係の仕事を手伝ったところ、反響の手応えに感動したんです。小国だからコミュニティーの密度が濃く、伝達も反応も早くて敏感。自分の存在価値が実感できて、また、日本人志向の取り組みが高く評価されることを知り、起業に目覚めたわけです。
日本はなんでも豊かでレベルが高い。それが普通。だから、普通に過ごしている人は、自分たちがどれほど豊かなのか、繊細な仕事をしているのか、気付きにくい。上層部の方は、その普通を維持するために、大変な努力を重ねているわけですが、大半の方は、日本の普通のすばらしさ、物事の価値を希薄に感じている……。そう考えさせられましたね。

――どのように起業したのですか?

高木 日本食ビジネスを考え、エストニア初の日本食レストランを開業することを目標に掲げました。最初は日本食のケータリングを手掛けましたが、「正しい食材なくして日本食は出せない」と痛感し、2012年、エストニア初の日本食材・輸入・小売業を始めました。当初は来客が10人にも満たない日もありましたが、いまや日本から直接ドライコンテナを引っ張れるだけの規模に成長。「正しい食材の不足」という悩みも克服しました。
そして昨年8月、念願だったエストニア初の日本食レストラン「麺やTOKUMARU」を開業。資金面では、実父が経営する(株)梨湖フーズからも出資を受けました。尊敬する父親から「おいしいに国境はない」と激励され、その教訓を胸に奮闘中です。

――どんな店舗ですか?

高木 寿司とラーメンを主力に日本の大衆料理を提供するカジュアルレストランです。約50坪・60席で客単価は約10ユーロ(税率20%込み)。集客数は1日平均・約150人です。スタッフは、私を含め日本人が2人、ほかは現地人です。日本食材の店頭販売も行っています。1年がたちましたが、さまざまな困難を乗り越え、順調に推移しています。

――どんなメニューが人気?

高木 開店以来、寿司が主力ですが、ラーメンの人気も着実に高まってきています。それも味噌とか辛味噌。醤油や塩も出しているのですが、なぜか味噌系ですね。私自信、道産子なので味噌びいきなのですが、やはり北国は味噌が合うのだと感じます。もちろんスープもたれも製麺もすべて自家製です。寿司では、数種の具材が入ったロール寿司が人気です。単一系の握り寿司より、複雑に混じり合った味が好まれます。クリームチーズとサーモンのフィラデルフィア巻きは鉄板ですね。

――店舗の士気は?

高木 日本料理のおいしさ、日本的な接客方法、おもてなし精神など、新たに触れる日本文化に興味津々です。スタッフは皆、向上意識が高くて、日本料理店で働くことに誇りを感じている様子です。

対岸のヘルシンキにも出店予定

――今後の抱負は?

 高木 おいしさに国境はありません。「日本食を通じてエストニアの食文化を豊かにする」ことです。エストニアでは日本食はまだまだ新しい食文化です。日本食を広める意義は、単に日本の素晴らしさを知ってもらうだけでなく、エストニア人の食文化そのものを豊かにすることでもあると実感しています。そうした地域の一人一人に愛されるレストランをしっかりと作っていきたいと思います。
また、入り江を挟んだ対岸のフィンランド・ヘルシンキまで約90kmと至近距離。近いうちにヘルシンキでも開業する予定です。

――今後の活躍を期待します。


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麺やTOKUMARU
高木大吾店主

日本食材店から日本食レストランへ

◆たかぎ・だいご=1981年札幌市生まれ。筑波大学卒業後、博士課程在籍中にエストニア・タリン大学とタルトゥ大学へ計3年間留学。留学中に起業、音楽プロモーションの仕事を経て、2012年にエストニア発となる日本食材店「MoMo」を開業。14年8月にエストニア初となる「麺やTOKUMARU」を開業。
◆麺やTOKUMARU=Solaris Shopping Center, 2 fl. Estonia pst. 9 Tallinn. Estonia

adminコラムおいしさに国境なし ラーメンと寿司でエストニアの食文化 豊かに 「みそラーメン」(8.5ユーロ)。 5種類の味噌をブレンドした特製味噌だれが自慢 ラーメン人気は、もはや海外でも珍しくなくなった。とはいえ、日本人経営のラーメン店はアジアと欧米の主要都市に限られ、まだまだ未開拓国も多い。そんな中、昨年8月、北欧の小国、エストニア(首都=タリン)に初出店したのが「麺やTOKUMARU」だ。手掛けるのはエストニア留学からラーメン実業家に転じた高木大吾さん。人口134万人、旧バルト3国の一角で奮闘する高木さんに現地事情を聞いた。 「えび塩ラーメン」(9.8ユーロ)。 ムール貝のだしとエビの風味を生かした魚介塩スープ。 「寿司セット」(13.4ユーロ)。 新鮮なノルウェーサーモン、フィンランド産スズキ、地元魚屋が作る冷製スモークサーモンの炙り握りをセットに 前人未踏の日本食ビジネス起業 ――そもそもエストニアとの出会いは?  高木 大学院在学中、エストニアから来日した教授から「エストニアに来て下さい」と誘われ、あまりに流暢(りゅうちょう)な日本語だったので、思わず「はい」と答えてしまい、首都・タリンの大学へ留学することになりました。 ――エストニアはどんなところ? 高木 フィンランドの対岸で人口134万人、国土は九州と同じくらいです。コンパクトだから意思決定が早いのか、非常にIT・ID化が進んでます。取り引きの大半は電子決済できますし、「スカイプ発祥の地といえば」イメージが伝わりやすいでしょう。経済力は未熟ですが、その分、未来志向の若い活気がみなぎってます。 '日本の普通'のスゴさ現地で実感 ――起業のきっかけは?  高木 留学中、知り合いの依頼で音楽関係の仕事を手伝ったところ、反響の手応えに感動したんです。小国だからコミュニティーの密度が濃く、伝達も反応も早くて敏感。自分の存在価値が実感できて、また、日本人志向の取り組みが高く評価されることを知り、起業に目覚めたわけです。 日本はなんでも豊かでレベルが高い。それが普通。だから、普通に過ごしている人は、自分たちがどれほど豊かなのか、繊細な仕事をしているのか、気付きにくい。上層部の方は、その普通を維持するために、大変な努力を重ねているわけですが、大半の方は、日本の普通のすばらしさ、物事の価値を希薄に感じている……。そう考えさせられましたね。 ――どのように起業したのですか? 高木 日本食ビジネスを考え、エストニア初の日本食レストランを開業することを目標に掲げました。最初は日本食のケータリングを手掛けましたが、「正しい食材なくして日本食は出せない」と痛感し、2012年、エストニア初の日本食材・輸入・小売業を始めました。当初は来客が10人にも満たない日もありましたが、いまや日本から直接ドライコンテナを引っ張れるだけの規模に成長。「正しい食材の不足」という悩みも克服しました。 そして昨年8月、念願だったエストニア初の日本食レストラン「麺やTOKUMARU」を開業。資金面では、実父が経営する(株)梨湖フーズからも出資を受けました。尊敬する父親から「おいしいに国境はない」と激励され、その教訓を胸に奮闘中です。 ――どんな店舗ですか? 高木 寿司とラーメンを主力に日本の大衆料理を提供するカジュアルレストランです。約50坪・60席で客単価は約10ユーロ(税率20%込み)。集客数は1日平均・約150人です。スタッフは、私を含め日本人が2人、ほかは現地人です。日本食材の店頭販売も行っています。1年がたちましたが、さまざまな困難を乗り越え、順調に推移しています。 ――どんなメニューが人気? 高木 開店以来、寿司が主力ですが、ラーメンの人気も着実に高まってきています。それも味噌とか辛味噌。醤油や塩も出しているのですが、なぜか味噌系ですね。私自信、道産子なので味噌びいきなのですが、やはり北国は味噌が合うのだと感じます。もちろんスープもたれも製麺もすべて自家製です。寿司では、数種の具材が入ったロール寿司が人気です。単一系の握り寿司より、複雑に混じり合った味が好まれます。クリームチーズとサーモンのフィラデルフィア巻きは鉄板ですね。 ――店舗の士気は? 高木 日本料理のおいしさ、日本的な接客方法、おもてなし精神など、新たに触れる日本文化に興味津々です。スタッフは皆、向上意識が高くて、日本料理店で働くことに誇りを感じている様子です。 対岸のヘルシンキにも出店予定 ――今後の抱負は?  高木 おいしさに国境はありません。「日本食を通じてエストニアの食文化を豊かにする」ことです。エストニアでは日本食はまだまだ新しい食文化です。日本食を広める意義は、単に日本の素晴らしさを知ってもらうだけでなく、エストニア人の食文化そのものを豊かにすることでもあると実感しています。そうした地域の一人一人に愛されるレストランをしっかりと作っていきたいと思います。 また、入り江を挟んだ対岸のフィンランド・ヘルシンキまで約90kmと至近距離。近いうちにヘルシンキでも開業する予定です。 ――今後の活躍を期待します。 麺やTOKUMARU 高木大吾店主 日本食材店から日本食レストランへ ◆たかぎ・だいご=1981年札幌市生まれ。筑波大学卒業後、博士課程在籍中にエストニア・タリン大学とタルトゥ大学へ計3年間留学。留学中に起業、音楽プロモーションの仕事を経て、2012年にエストニア発となる日本食材店「MoMo」を開業。14年8月にエストニア初となる「麺やTOKUMARU」を開業。 ◆麺やTOKUMARU=Solaris Shopping Center, 2 fl. Estonia pst. 9 Tallinn. Estoniaあたらしい視点でラーメンを伝える情報誌!