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古代から現代まで歴史的文献に基づいて語られる「中華料理」の文化的な史実

『中華料理の文化史』
張 競 編
筑摩書房 発行(ちくま文庫)
文庫/286ページ
780円(税別)
2013年6月10日(第1刷)刊行

 日本の「ラーメン」は中国料理ではなく日本でつくりあげた日本料理だ、というのは現在の私たちにはごく当たり前の常識として理解されている。しかし、いやむしろだからこそ、私たちはそのラーメンの源流となった中国料理についてきちんと知っておくべきなのかも知れない。
本書に記載されているのは、日本の大学で比較文化学の教授を務める著者が、具体的かつ詳細なデータを踏まえて語る中国料理の歴史である。のっけから驚かされるのは、歴史的な資料に基づけば北京ダックも麻婆豆腐もいまからわずか100年ほど前に生まれたものであり、四川料理の特徴として知られる唐辛子の辛さも、せいぜい400年程度の歴史しかないのだという記述だ。「中国4000年の歴史」とよくいわれるが、料理に関しては現在の中国料理と古代のそれとはかなり異なったものであったらしい。
当然のごとくラーメンについても1章が割かれているし、孔子の時代にはどのような料理が食べられていたのか、日中で異なる食卓での箸の置き方、好まれる食材や料理の変遷など、料理好きにとっては好奇心をくすぐる話題が満載だ。
本書は1997年に発行された書籍を新たに文庫化したものであるため、ページ数的にはごくわずかだが、最終章の末尾に近年の中国料理の変化についても付け加えられている。また、あとがきには筆者がなぜ「中国料理」ではなく「中華料理」という言葉を用いたのかという理由もちゃんと書かれており、いずれも興味深い。4000年の歴史の一端を知りたいと思う方は、ぜひ一読してみてほしい。
(藩田伊庵)

adminコラム古代から現代まで歴史的文献に基づいて語られる「中華料理」の文化的な史実 『中華料理の文化史』 張 競 編 筑摩書房 発行(ちくま文庫) 文庫/286ページ 780円(税別) 2013年6月10日(第1刷)刊行  日本の「ラーメン」は中国料理ではなく日本でつくりあげた日本料理だ、というのは現在の私たちにはごく当たり前の常識として理解されている。しかし、いやむしろだからこそ、私たちはそのラーメンの源流となった中国料理についてきちんと知っておくべきなのかも知れない。 本書に記載されているのは、日本の大学で比較文化学の教授を務める著者が、具体的かつ詳細なデータを踏まえて語る中国料理の歴史である。のっけから驚かされるのは、歴史的な資料に基づけば北京ダックも麻婆豆腐もいまからわずか100年ほど前に生まれたものであり、四川料理の特徴として知られる唐辛子の辛さも、せいぜい400年程度の歴史しかないのだという記述だ。「中国4000年の歴史」とよくいわれるが、料理に関しては現在の中国料理と古代のそれとはかなり異なったものであったらしい。 当然のごとくラーメンについても1章が割かれているし、孔子の時代にはどのような料理が食べられていたのか、日中で異なる食卓での箸の置き方、好まれる食材や料理の変遷など、料理好きにとっては好奇心をくすぐる話題が満載だ。 本書は1997年に発行された書籍を新たに文庫化したものであるため、ページ数的にはごくわずかだが、最終章の末尾に近年の中国料理の変化についても付け加えられている。また、あとがきには筆者がなぜ「中国料理」ではなく「中華料理」という言葉を用いたのかという理由もちゃんと書かれており、いずれも興味深い。4000年の歴史の一端を知りたいと思う方は、ぜひ一読してみてほしい。 (藩田伊庵)あたらしい視点でラーメンを伝える情報誌!