寒さと酔いを吹き飛ばすラーメン

IWzBfSR6極寒の歓楽街が生んだ奇跡
毎夜11時頃から行列ができ、午前1時を過ぎても長い行列が途切れないラーメン店がある。札幌の歓楽街・ススキノの雑居ビルの中にある「信月」だ。10人掛けのカウンター席は、朝方近くまで酔客やホステスさんたちで埋まっている。東京でさえめったにお目にかかれない光景だ。
札幌のラーメンといえばモヤシが山盛り入った味噌ラーメンをイメージするが、この店の名物は塩ラーメンに“おろし生姜”が入った「塩生姜ラーメン」である。スープは、豚骨を大量に使っているにもかかわらず、驚くほど透き通っている。その透明度は同じ北海道の摩周湖に匹敵するほど高い。そのため上品な味わいなのに、中太の熟成ちぢれ麺に負けない豊かな風味と奥深いコクがある。具材はチャーシュー、メンマ、麩、なると、ネギとシンプルで、豪快な北海道料理とは真逆の、繊細な京料理のようなラーメンだ。
この塩ラーメンにレンゲ1杯のおろし生姜をトッピングした塩生姜ラーメンは、客の8割以上が注文する人気ぶりだ。食材卸の一柳製麺によると、1日に麺を400玉近く納品しているらしいので、塩生姜ラーメンは単品で300食以上売っていることになる。そこまではいかないとしても、ダントツの看板商品であることは間違いない。
筆者は、必ず生姜をダブル(レンゲ2杯)で注文する。「1杯だと少し物足りないけど、3杯だとちょっと辛いので、2杯がちょうどよい」という地元の友人のアドバイスがあったからだ。それしか食べたことはないが、確かにおいしいし、身体が温まるし、アルコールも解毒する。
今回のススキノの夜はマイナス8度という強烈な寒さだったが、「信月」の塩生姜ラーメンを食べたら寒さが一気に吹き飛んだ。しかも何軒もはしごして歩いたにもかかわらず、翌日は全く二日酔いがなかった。心にも体にも優しい、極寒の歓楽街が生んだ奇跡のラーメンと言ってもよいだろう。これからも寒さに凍え飲み過ぎに苦しむ人たちを救ってあげてほしい。ありがとう「信月」、ありがとう「塩生姜ラーメン」……。


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ラーメン信月/塩生姜ラーメン 790円

二日酔いを吹っ飛ばすシャープな味わい
日販=300食(推定)
住所:札幌市中央区南5条西3丁目 N・グランデビル1階奥


谷口 正俊(たにぐち・まさとし)

1956年生まれ。立命館大学経済学部卒業後、㈱チェポ(現・ピーターパンコモコ)入社。和風FF「一口茶屋」の全国展開を指揮。40歳で独立。現在「立ち呑み龍馬」など8店舗を経営するほか、コンサルタントとして活躍。「理論より実践、システムよりマインド」がモットー。

adminコラム寒さと酔いを吹き飛ばすラーメン 極寒の歓楽街が生んだ奇跡 毎夜11時頃から行列ができ、午前1時を過ぎても長い行列が途切れないラーメン店がある。札幌の歓楽街・ススキノの雑居ビルの中にある「信月」だ。10人掛けのカウンター席は、朝方近くまで酔客やホステスさんたちで埋まっている。東京でさえめったにお目にかかれない光景だ。 札幌のラーメンといえばモヤシが山盛り入った味噌ラーメンをイメージするが、この店の名物は塩ラーメンに“おろし生姜”が入った「塩生姜ラーメン」である。スープは、豚骨を大量に使っているにもかかわらず、驚くほど透き通っている。その透明度は同じ北海道の摩周湖に匹敵するほど高い。そのため上品な味わいなのに、中太の熟成ちぢれ麺に負けない豊かな風味と奥深いコクがある。具材はチャーシュー、メンマ、麩、なると、ネギとシンプルで、豪快な北海道料理とは真逆の、繊細な京料理のようなラーメンだ。 この塩ラーメンにレンゲ1杯のおろし生姜をトッピングした塩生姜ラーメンは、客の8割以上が注文する人気ぶりだ。食材卸の一柳製麺によると、1日に麺を400玉近く納品しているらしいので、塩生姜ラーメンは単品で300食以上売っていることになる。そこまではいかないとしても、ダントツの看板商品であることは間違いない。 筆者は、必ず生姜をダブル(レンゲ2杯)で注文する。「1杯だと少し物足りないけど、3杯だとちょっと辛いので、2杯がちょうどよい」という地元の友人のアドバイスがあったからだ。それしか食べたことはないが、確かにおいしいし、身体が温まるし、アルコールも解毒する。 今回のススキノの夜はマイナス8度という強烈な寒さだったが、「信月」の塩生姜ラーメンを食べたら寒さが一気に吹き飛んだ。しかも何軒もはしごして歩いたにもかかわらず、翌日は全く二日酔いがなかった。心にも体にも優しい、極寒の歓楽街が生んだ奇跡のラーメンと言ってもよいだろう。これからも寒さに凍え飲み過ぎに苦しむ人たちを救ってあげてほしい。ありがとう「信月」、ありがとう「塩生姜ラーメン」……。 ラーメン信月/塩生姜ラーメン 790円 二日酔いを吹っ飛ばすシャープな味わい 日販=300食(推定) 住所:札幌市中央区南5条西3丁目 N・グランデビル1階奥 谷口 正俊(たにぐち・まさとし) 1956年生まれ。立命館大学経済学部卒業後、㈱チェポ(現・ピーターパンコモコ)入社。和風FF「一口茶屋」の全国展開を指揮。40歳で独立。現在「立ち呑み龍馬」など8店舗を経営するほか、コンサルタントとして活躍。「理論より実践、システムよりマインド」がモットー。あたらしい視点でラーメンを伝える情報誌!