大衆文化の象徴を題材に、 現代日本を見つめる文化論

ラーメンと愛国

速水健朗 著
講談社 現代新書
新書/283頁/
760円(税別)
2011年10月 刊行
新書版ながら、表紙面積の7割以上を占める巨大な帯が巻かれた本書。その帯に、タイトルよりも大きな書体で書かれた「ラーメンから現代史を読み解くスリリングな試み!」というキャッチコピーが、この本の内容を的確に表している。
著者は、メディア論や都市論などを主なテーマとする編集者/ライターであり、ラーメンどころか「食」の世界とはまったく無縁な存在だ。したがって本書も、「戦後の日本社会がどのような変化をみせてきたのか」という文化論的な題材を、ラーメンという食べ物を軸にしてとらえるという、かなりマジメな書物なのだが、これが実はかなり面白い。
たとえば、第3章には、「『ガラスの仮面』におけるラーメン屋の記号的役割」という一節がある。有名な少女マンガの主人公が、横浜中華街のラーメン屋の2階に住み込みで働く母親と一緒に暮らしているという設定の意味について述べた部分だ。詳細は割愛するが、こうした分かりやすく興味深い題材をふんだんに盛り込みながら、私たちがどこから来て、どこへ向かっているのかについて考えさせることが本書の意図するところのひとつなのだろう。
著者は「まえがき」で、「ラーメンに関する興味は、グローバリゼーションとナショナリズムのふたつに集約される」と書いている。業界にかかわるものとして、世界中で受け入れられ、評価を得ているラーメンの「グローバリゼーション」については何の違和感も持たなかったが、「ナショナリズム」に関する記述については、読後に少しばかり考えるところもあり、なかなか新鮮な視点を感じた。
(藩田伊庵)

adminコラム大衆文化の象徴を題材に、 現代日本を見つめる文化論 速水健朗 著 講談社 現代新書 新書/283頁/ 760円(税別) 2011年10月 刊行 新書版ながら、表紙面積の7割以上を占める巨大な帯が巻かれた本書。その帯に、タイトルよりも大きな書体で書かれた「ラーメンから現代史を読み解くスリリングな試み!」というキャッチコピーが、この本の内容を的確に表している。 著者は、メディア論や都市論などを主なテーマとする編集者/ライターであり、ラーメンどころか「食」の世界とはまったく無縁な存在だ。したがって本書も、「戦後の日本社会がどのような変化をみせてきたのか」という文化論的な題材を、ラーメンという食べ物を軸にしてとらえるという、かなりマジメな書物なのだが、これが実はかなり面白い。 たとえば、第3章には、「『ガラスの仮面』におけるラーメン屋の記号的役割」という一節がある。有名な少女マンガの主人公が、横浜中華街のラーメン屋の2階に住み込みで働く母親と一緒に暮らしているという設定の意味について述べた部分だ。詳細は割愛するが、こうした分かりやすく興味深い題材をふんだんに盛り込みながら、私たちがどこから来て、どこへ向かっているのかについて考えさせることが本書の意図するところのひとつなのだろう。 著者は「まえがき」で、「ラーメンに関する興味は、グローバリゼーションとナショナリズムのふたつに集約される」と書いている。業界にかかわるものとして、世界中で受け入れられ、評価を得ているラーメンの「グローバリゼーション」については何の違和感も持たなかったが、「ナショナリズム」に関する記述については、読後に少しばかり考えるところもあり、なかなか新鮮な視点を感じた。 (藩田伊庵)あたらしい視点でラーメンを伝える情報誌!