『麺の文化史』学者が取り組んだ真面目な麺類の文化史

麺の文化史

『麺の文化史』-麺の起源をたどった世界で初めての本-
毛直道 著
講談社(講談社学術文庫)発行
A6判/395頁/1,200円(税別)
2006年8月 刊行
本書の著者は、京都大学を出て国立民俗学博物館の館長などを歴任した文化人類学者で、また農学博士でもある。そんな偉い先生が真面目に取り組んだ「麺の文化史」なのだから、この本はタダモノではない。中国、日本、そしてアジア全般からイタリアのパスタにいたるまで、〈麺〉と呼ばれる食べ物全般にわたって、膨大な資料にあたり、広範なフィールドワークと深い知見に基づいて書かれたガイドブックだ。体裁が文庫本のため粗いモノクロだが、著者のフィールドワークで撮影された写真もかなりの量にのぼる。「学術文庫」と名付けられた400ページ近い本書は、文庫サイズだからといって安易に読み終えられるボリュームではない。
しかし、本書は専門家のための学術書や専門書の類ではないのだ。そのことは、まず本書の序文の最後にも書かれている。これは、あくまでも「一般の読者を想定して」書かれた本であり、単に麺類に興味を持つ素人が読み物として読む本としても十分に面白いと言える。
ただし、実はこの本には日本のラーメンについての記述はそう多くない。だから、「現在の日本で食べられているラーメンにしか興味はない」という人にとっては、ほとんど読むべきところはない本であるかも知れない。しかし、現在のラーメンを生み出したこの世界には、これまでどれだけの「麺類の歴史」が存在したのか、その広がりや奥行きに関心を持ち、そこからラーメンの持つ奥深さを再確認してみたいと考えるなら、ぜひ読んでみるべき1冊に挙げられるだろう。
(藩田伊庵)

adminコラム『麺の文化史』学者が取り組んだ真面目な麺類の文化史 『麺の文化史』-麺の起源をたどった世界で初めての本- 毛直道 著 講談社(講談社学術文庫)発行 A6判/395頁/1,200円(税別) 2006年8月 刊行 本書の著者は、京都大学を出て国立民俗学博物館の館長などを歴任した文化人類学者で、また農学博士でもある。そんな偉い先生が真面目に取り組んだ「麺の文化史」なのだから、この本はタダモノではない。中国、日本、そしてアジア全般からイタリアのパスタにいたるまで、〈麺〉と呼ばれる食べ物全般にわたって、膨大な資料にあたり、広範なフィールドワークと深い知見に基づいて書かれたガイドブックだ。体裁が文庫本のため粗いモノクロだが、著者のフィールドワークで撮影された写真もかなりの量にのぼる。「学術文庫」と名付けられた400ページ近い本書は、文庫サイズだからといって安易に読み終えられるボリュームではない。 しかし、本書は専門家のための学術書や専門書の類ではないのだ。そのことは、まず本書の序文の最後にも書かれている。これは、あくまでも「一般の読者を想定して」書かれた本であり、単に麺類に興味を持つ素人が読み物として読む本としても十分に面白いと言える。 ただし、実はこの本には日本のラーメンについての記述はそう多くない。だから、「現在の日本で食べられているラーメンにしか興味はない」という人にとっては、ほとんど読むべきところはない本であるかも知れない。しかし、現在のラーメンを生み出したこの世界には、これまでどれだけの「麺類の歴史」が存在したのか、その広がりや奥行きに関心を持ち、そこからラーメンの持つ奥深さを再確認してみたいと考えるなら、ぜひ読んでみるべき1冊に挙げられるだろう。 (藩田伊庵)あたらしい視点でラーメンを伝える情報誌!